事例2:坂戸市東和田

東和田の石橋供養塔は高さが約2mで他の供養塔に比べ、かなり大きい塔に分類できます。また、埼玉県に現存する供養の中でも、最も特異な形態をしています。

この供養塔は、文献調査でも判読できない文字が複数ありました。

判読できない文字の例(□:判読不明)

左側面
 享保 □ □ 願主 助力當村中深了合力 四月十四日 善入
裏側
 □ □ 建中宿 導師吉祥寺七世能喜敬白 □ □ 善兵衛
3D解析によって解析例(□:判読不明)

左側面
 享保 □ □ 願主 助力當村中深了合力 四月十四日 善入
裏側
 □ □ 建中宿 導師吉祥寺七世能喜敬白 田中善兵衛

今回の解析から「田中」という文字が判明し、「田中善兵衛」が建立に関わっていることが明らかになりました。

田中善兵衛は、東和田に建立されている他の供養塔にも名が彫られていることから、この地域の名主ではないかと考えられます。

詳細は「作品の説明資料」をご覧ください。

 

また、地域住民にヒアリングした結果、住民でもこの塔の意味合いなどを知らいないという回答が得られました。立派な石造だから壊さないように、多少の手入れをしていたとのことで、関心があまり高くないことがうかがえます。

チーム名:石橋を叩いて渡る(日本大学経済学部 田中圭ゼミ)
 2年:八木澤藍生・田中詩乃、3年:蛭沼祐貴・梅津高龍